やむを得ず、愛犬を長時間留守番させた時はいつも以上に心配になるもの。短時間留守番させる時とはまた違って、きちんと対策して犬にとってより快適な環境を作るようにしてください。少しでも寂しい思いをしないように、飼い主も工夫することが求められます。
本記事では、長時間留守にする際の「犬にやっておくべき対策」や注意点なども分かりやすく記載しています。普段から留守にしがちなご家庭は、ぜひ今からでも対策してください。
愛犬を長時間留守番させる際の5つの対策
大切な愛犬を長時間留守番させる時にやるべき、5つの対策をご紹介します。
対策①いたずら防止のためリビングにサークルを設置する
最初の対策は、リビングにサークルを設置してあげることです。サークルとは天井がないタイプの柵のことで、設置することでいたずら防止にもなります。
室内犬でもサークルを設置せずに、フリーでお留守番させるというご家庭もあるかと思います。大人しく待っていられる子ならば、サークルの設置は必須ではありません。その子の性格等でも判断して、より安全に過ごせる方を選んでください。
Point!サークルの中にクレートを置くのもオススメ
サークルの大きさは広めのサークルを設置して、その中でものびのびと過ごせるようにしましょう。またこのクレートエリアに、地震などの時に避難できるよう「クレート」を置くこともオススメです。
一緒に外出する時に入れているクレートであれば慣れていますし、中にタオルや布団を敷いてあげれば寝床にもなります。
対策➁水は複数用意しておく
長時間の留守番時は、水を入れた器を複数用意しておいてください。サークルを設置するなら、そのエリア内にも2-3個置いてあげましょう。
長時間家を空けるなら水を変えてあげることはもちろん、1つしか用意していなければ無くなった時に補充できないからです。
夏以外に冬でも暖房をつけていれば乾燥しがちなので、必ず複数の水を用意しましょう。
対策③退屈しないように好きなおもちゃを用意する
サークルの中で退屈しないように、愛犬の好きなおもちゃを用意することが3つ目の対策です。この時も1つだけではなく、ずっと遊べるようなものを何個か置きましょう。
いつも遊んでいるおもちゃ=お気に入り、と判断できます。夢中になって遊ぶことで、留守番への寂しさやストレスが軽減されやすくなります。
Point!飼い主の匂いがついたものも効果的
好きなおもちゃの他に、飼い主の匂いがついたものを与えるのも効果的です。古くなった洋服や、よく使っているブランケットなどを置いて外出してください。間近に置くだけで不安も減らすことができ、より安心して留守番できるはずです。
対策④外出する前には多めに散歩・運動しておく
4つ目の対策は、外出する前に多めに散歩・運動することです。予め動いて疲れさせておくことで、留守番中は大人しく待つことも多くなります。
Point!留守番を不安なものにさせないために
たくさん遊ぶことを、外出する時限定などにするのは決して良くありません。犬にとって「遊んだ後=飼い主が居なくなる」と覚えてしまうと、例え短時間の留守番でも不安感を増長させてしまって、よりストレスがかかります。
普段から同じように遊んで、留守にする時と差を付けないのがポイントです。
対策⑤安心して過ごせる環境を整える
最後の対策は、安心して過ごせる環境を整えてあげることです。サークルの設置・おもちゃを与えること以外にもいくつかあるので、次章で説明します。
犬が長時間の留守番でも安心して過ごせる環境とは?
犬が長時間の留守番中に安心して過ごせるように、飼い主は環境を整えてあげましょう。小さなことですが、犬の目線で考えることが大切です。
部屋の温度・湿度は一定に保っておく
まずは、部屋の温度と湿度を一定に保つことです。春や秋など過ごしやすい季節ならばまだしも、夏・冬は注意してください。
特に夏は常に冷房を稼働して、部屋の温度が上がらないようにします。適切に温度と湿度を管理していないと、熱中症になり命の危険性が高まるからです。
冬もできるだけ、寒すぎないところで過ごせるように工夫してください。
安全と危険回避のためにコード・コンセント類は隠す
また部屋のコードやコンセント類は、安全のためにできるだけ隠してから外出してください。これは噛んだり誤飲するなどの、危険を回避するためです。
リビングのサークルも、コード・コンセント類が無いところへ設置するようにしましょう。
観葉植物・花も高い場所へ避難を
コード・コンセント類の他には、観葉植物や花なども高い場所へ避難させます。植物によっては有毒なものもあるため、ペットが誤って食べてしまうことを防ぎます。
いつも通りの状態にしておく
また、過ごす場所をいつも通りの状態にしておくことも重要です。レイアウトを急に変えたりなどは避けて、いつもの場所にいつもの物がある状態で見慣れた光景にしておきます。犬はこういった小さなことでも敏感になりやすいので、いつも通りを心がけましょう。
犬を留守番させても良い時間はどのくらい?
犬を留守番させても良いとされる時間は、どのくらいなのでしょうか?実は、明確に言い切ることは難しいとされています。犬それぞれの年齢や性格はもちろん、飼い主のライフスタイルも大いに影響するからです。
しかし対策するとしても、何十時間という長時間且つ毎日留守番させることはあまり良くありません。なぜなのか、理由を説明していきます。
1週間の留守番時間が長いほど問題行動を起こす可能性が高くなるから
1つ目の理由は、留守にさせている時間の長さと問題行動を起こす確率は比例するからです。
オーストラリアのクイーンズ大学がペット動物行動クリニックを訪れて、2001年から2013年の12年間『問題行動を起こしやすいペットの特徴』について調査しました。
8,000頭近い大規模な調査の結果、犬の問題行動は飼い主のワークスタイルが大きく影響していることが判明しました。
問題行動のうち特に破壊行動を生じる割合が多く、飼い主が週何時間留守にするかで、
・週に20時間未満の留守:8.84
・週に40時間以上~60時間未満の留守:39.94
このように約5倍もの差が生じました。
1週間のうち留守にする時間が長いほど、問題行動(破壊行動)を起こしてしまう可能性が高いことがデータからも分かります。
参考ページ:犬の問題環境を助長する遺伝要因と環境要因
通常のワークスタイルとされる:1日8時間・週5日勤務するだけで、週40時間に達します。
1人暮らしや共働きのご夫婦で犬を飼われたいと思われる方は、勤務している間は誰もいないわけですから飼育自体「より慎重に考える」必要があります。
犬にもストレスがかかり分離不安の症状が出ることもある
破壊行動を含む問題行動以外にも、”分離不安症”といって心の病気を患ってしまうこともあります。
<症状の一例>
・部屋の中を荒らす
・吠え続ける(無駄吠え)
・自傷行為を行う
・下痢や嘔吐をする
・何も食べなくなる
・トイレ以外の場所に排泄してしまう…等です。
これは犬が「留守中に危険な思いをした」・「飼い主さんがもう戻ってこないのでは」などの感情・気持ちが関係しています。
我が家で飼っていた犬(ビーグル)も室内でフリーに留守番させていたところ、ゴミ箱をひっくり返して餌を探す・布切れを噛んで遊ぶ…などの行為がありました。
その後は庭で飼いこういったことは無くなりましたが、長時間の留守番ではなかったとしても少なからずストレスがかかっていたんだと思います。
特に無駄吠えは、長時間留守にするほどストレスから生じていることも・・。毎日一人で5時間以上10時間未満、留守番している子は約3割もいます。
参考ページ:積水ハウス:総合住宅研究所「ひととペットの実態調査」
また何のトレーニングもせずいきなり長時間留守番させた場合にも起こりやすいので、次章で説明する”上手に留守番させる方法”を取り入れてください。
犬を長時間上手に留守番させる3つの方法
犬を長時間、上手に留守番させる方法を3つ紹介していきます。日頃からのトレーニングが、いかに重要かがお判りいただけるかと思います。
1.トイレ(排泄)トレーニングを行う
まずは、トイレトレーニングを行うことです。指定した場所以外に排泄しないように躾けることを目的とし、どんな場合にでも安心してトイレできるように練習します。
一緒に過ごしている時は問題なくできても、留守番させた途端できなくなる子も少なくありません。安定して同じ場所で排泄できるように、子犬の時からトレーニングしておきましょう。
2.短時間での留守番から慣れさせる
また留守番の時間もいきなり長時間させることは控えて、必ず短時間の留守番からトレーニングします。
最初は実際に外出するのではなくて、同じ家の中でも違う部屋に移動して一緒に過ごす時間を減らすことからスタートしてください。離れている時間を5分・10分・20分・・と少しずつ延ばして、まず独りで過ごすことに慣れさせましょう。
問題なく過ごせるようになれば、実際に留守番させる・・という順序が良いです。
3.帰宅後はたくさん褒める・おやつなどのご褒美をあげる
短時間の留守番から慣れさせる時はもちろん、帰宅(部屋に戻った)後は”おやつをあげる”などしてたくさん褒めてあげてください。
お利口に留守番していたならば必ず褒めることで、「留守番が良くないもの」という認識から遠ざける役割も果たします。
愛犬を長時間留守番させる時の注意点
愛犬を長時間留守番させる時には、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。
①誤飲事故防止のため、小さいおもちゃは置かない
➁生後3ヵ月未満の子は留守番させない
注意点は、以上2点です。それぞれ理由を述べていきます。
注意点①誤飲事故を防ぐために小さいおもちゃは置かない
1つ目は、誤飲事故を起こさないために小さなおもちゃは置かないようにすることです。
5つの対策の章(1章)で、好きなおもちゃを与えるといいました。好きなおもちゃであっても簡単に飲み込めてしまう程のサイズでしかなければ、与えないようにしてください。
何かの拍子で誤飲しても、誰もいなければ対処できません。普段は問題なかったとしても、やはり留守番中は少なからずストレスを感じているのは事実です。その点を肝に銘じておきましょう。
注意点➁生後3ヵ月未満の子犬は留守番させない
2つ目の注意点は、いくら大人しい性格の子でも生後3か月未満の子犬は留守番させないようにします。これは食事・排泄ともに安定していませんし、いくらサークル内で過ごさせて環境を整えたとしても危険が多いからです。
長時間の留守番に必要!強い味方になる便利グッズ2選
最後に、長時間の留守番で必要・強い味方になる便利なグッズを2つ紹介してこの記事を終わります。
Furbo(ファーボ)ペットカメラ
1つ目は、Furbo(ファーボ)というペットカメラです。お使いのスマートフォンに専用のアプリをダウンロードして繋げると、外出先からでもカメラが映し出す範囲で様子を見守ることができます。
また中にはおやつを入れることができ、アプリからボタン1つのタップすれば遠隔でおやつをあげることも可能です。
映像も綺麗ですし、シンプルな見た目でインテリアの邪魔にもなりません。お値段は少し高めですが、実際に使っている方も多いです。YouTubeの動画を載せておくので、参考にしてください。
Furbo利用者動画
自動給餌器や自動給水器
長時間の留守番は、餌やりが心配な方も居るでしょう。水は複数置けても、餌は外出前にあげると一気に食べてしまうことも多いです。帰宅までの時間が長いほど食事を与えるのも遅れてしまいます。
しかし自動給餌器ならば、そのような心配は無用です。タイマー機能で決められた時間に与え、量も予め設定できるのであげ過ぎることもありません。
水を複数置くことが衛生面で気になる方は、自動給水器の利用もオススメできます。ろ過機能が付いたものならば常に綺麗な水が出てきますし、給餌器とセットになった物も販売されています。
レビューなども参考にしながら、納得できるものを探してみてください。
【番外編】ペットホテルやペットシッターも有効活用を
長時間でも何日にもわたって家を空ける場合は、自宅で留守番させるにも限界があります。何日も空くならあらかじめ(予定が)分かるので、ペットホテルに預けたりペットシッターに見てもらったりなどの選択肢も積極的に考えましょう。
いくら環境を整えて自動給餌・給水器を置いていたとしても、何日間も犬だけで家に置いておくのは好ましくないからです。散歩にも連れていけないので、犬にとっては全く良くない状況です。
まとめ:長時間の留守番が”大丈夫”なように飼い主は工夫しよう
長時間の留守番をさせる際は、
・サークルを設置して水も複数置く
・好きなおもちゃや飼い主の匂いが付いたものを与えておく
・出かける前に多めに散歩と運動をさせておく
・安心できる環境を整える
・場合によっては自動給餌器の導入やペットホテルへの預け入れも考える
こういった対策を行い、今まで留守番させていた環境を見直すことから始めましょう。愛犬の安全確保に努めるとともに、上手に留守番させる方法も取り入れつつ注意点もしっかりと頭に入れておいてください。
犬はもともと群れで過ごす習性もありますし、大人しく待つことができたとしても決して留守番が好きなわけではありません。
犬にとって留守番が”大丈夫”であると思えるように少しでも工夫し、留守番させた後は思いっきり構ってあげてください。